『さらば、わが愛覇王別姫』のラストシーンをどう考えますか

『さらばわが愛』は特に、山岸涼子『日出処の天子』が好きな人は気に入ると思う。
共に男性二人、女性一人の三角関係が物語の根底にあります。
男性二人、女性一人の三角関係だと
男a→(思慕)→女←(思慕)←男b
が一般的ですが、こっちです。
男a→(思慕)→男b←(思慕)←女

男bが最初は男aに恋心のようなものを確かに抱くのですが、最終的にはあとから出てきた女を選ぶというとこも似てます。この男aの恋心が胸をわしづかみにするのです。

最初から男bに想いを寄せている男aびいきで物語を見るのですから、女はつまらん女でなく、とびきりのいい女を出してもらわねば納得いかないわけですが、名作日出処の天子の唯一悔やまれるポイントは、その女である布都姫が、ただのなよなよめそめそとしたお嬢さんでこれがつまんない女で、これなら男b、男aの方がよくない~?ってなっちゃうんですね。(男aは、両作品とも中性的な超美形です。)

覇王別姫ではこの「女つまんない問題」で悩まなくて大丈夫。コン・リー演じる高級娼婦である女はタフで骨太で、それなりにあくどくて、いい女なんです。ライバルである男aが体温低そうな美形としたら、この女は体温高そうな美形です。この対比がいい。

この映画、最後は解釈の割れるラストで、悲劇だという人もいるかもしれません。ですがあの終わり方は男aにとっては一番幸福な終わり方だと最初見た時から今も思っています。